過ぎ去りし麗しき日々は再び我の元に返り来たらず

やってくるこの毎日が人生だと知っていたら

父が投資詐欺の被害者になりました その7

 

 事件が発覚した2日から12日間。いったんの区切りとなりそうだ。今日、O氏に100万振り込んできたからだ。

 借りた800万のうち半分の400万返したことになる。残り400万の内訳は、ウザい言い分で返却を伸ばしているM氏の100万、叔父200万、Xこと叔母の100万である。父の妹弟の分は返さなくていいらしい(?)し、父を想ってM氏も漢気出してくれれば良い。

 父周りの登場人物に全員ムカツいてるからこれぐらい思わせてほしい。

 

 金の話はひと段落したので、この際もうひとつハッキリさせておきたかった事に取り掛かることにした。

 認知症の検査である。

 だって明らかに判断力がないもの。今回の件で若い頃から父を知る人物と話をしてきたが全員が『まさかあの人が⁈』と言っていたし家族ももちろんそうだし。

 なので先週、勝手に地域包括支援センターに電話した。とりあえず保健師が訪問して相談にのってくれるらしい。

 で今日、訪問してくれた保健師にいろいろ相談させてもらい最終的には認知症の検査予約までしてもらった。

 父は父で保健師からの質問にやっぱりカッコつけるし、母は母で保健師の前でも父をボロクソに罵るしで、俺が一番保健師に相談したかったのは両親をこのまま一緒にしてて良いものかという事だった。

 玄関出てからコソッと聞いたら苦笑いしてたよ保健師...。だよねー!

 

 そんな訳で、まだ不安は尽きないが俺は前に進もうと思う。今回の事件でひとつ良かったことがあって、それは妻との絆である。

 すっかりAIRな関係になってずいぶん経つのだが、話し合いも増えたし何より俺の両親に対する妻の想いが嬉しかったのである。

 

 最後に、今ドン底にいる父に是非とも贈りたい言葉を記して心に刻み終わることとしよう。

 まだ始まったばかりです。いくらでもやり直せます。
 よろしいですか。よろしいですか?
 たとえ、たとえですね、明日死ぬとしてもやり直しちゃいけないって誰が決めたんですか。

 誰が決めたんですか?…まだまだこれからです。

 

古畑任三郎 シーズン3 第5話『古い友人に会う vs安斎亨』より